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独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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国際関係業務

透明性とデータの完全性に関するICMRA-WHO共同ステートメント

ICMRA

2021年5月7日

ICMRA[注1]とWHOは、製薬業界に対して、すべての新医薬品およびワクチンの臨床データへの幅広いアクセスを可能にすることを求める(通常承認、条件付き承認、緊急使用、承認拒否の別を問わない)。臨床試験の報告書は、公衆衛生上の利益を最優先にするため、機密情報を編集することなく公表されるべきである。

COVID-19のパンデミックにより、情報やデータの必要性がとりわけ注目されるようになった。それは、ワクチンや治療薬を開発するアカデミア、研究者および産業界を支援するため、および規制当局や保健当局の意思決定、医療従事者の治療方針の決定を支援するため、加えて使用されるワクチンと治療薬に対する社会の信頼を得るためである。

いくつかの取り組みは、ステークホルダーのサポート(例:WHO International Clinical Trials Registry Platform、US NIH ClinicalTrials.gov database、Health Canada Clinical Information Portal、EMA Clinical Trials Register、Japan Registry of Clinical Trials)を受けているが、過去のすべての取り組みが成功したわけではない。多くの場合、それは善意に依存していたり、適切なリソースを調達できないために、持続できないことが原因だった[注2]

これらの取り組みに共通する目的は、医療上の意思決定に関わるすべての人々が、研究結果にアクセスすることを可能にすることである。優先事項は画期的新医薬品とワクチンである。これにより透明性が向上し、科学的エビデンスの基盤の妥当性と価値が強化される。取り組みを成功させるためには、公衆衛生上の利益をもたらすような解決策を見出すことを目指した、複数のステークホルダーの関与が必要となる。

規制当局は、製薬企業との透明性に関する交渉に、多大なリソースを費やし続けている。個人情報と個別患者データは秘匿しつつ、臨床的にポジティブなデータとネガティブなデータの両方を公表するべきである。いずれにせよ、集約されたデータが個人情報の再特定につながる可能性は低く、匿名化の手法が活用できる。

第一のベネフィットは社会的な信頼である。規制当局は、その意思決定を公表して公衆の目にさらすことで、自分たちの仕事が信頼に値するものであることを明示している。

もう一つのベネフィットは、データの完全性、科学的な必要性、倫理面での義務を確認できることである。データは、ピアレビューを通じて、頑健で、網羅的かつ検証可能でなければならない。データの完全性には大きな価値がある。選択されたデータまたは信頼性の低いデータに基づいて下された規制当局の誤った判断は、当該医薬品を使用する患者に影響を及ぼす。

ネガティブな結果を示す試験に外部からアクセス出来ないことは、システマティックレビューの結論を弱め、医薬品の安全性または有効性に関する誤った安心感を与えるといった、バイアスの原因として特定されている。

データの公表は、不必要な試験の繰り返しと(人的および経済的な)資源の無駄を省くことによって、科学の進歩を加速する。さらにこれは、開発計画の効率性を高め、開発にかかる費用と期間の両方を削減することによっても、ベネフィットをもたらす。データの公表は、異なる観点または補完的な観点をもつ二次解析(およびメタアナリシス)をも可能にする。

データは公共の利益に資するものであるため、多くの公的機関がオープンアクセスを要件にしている。データへのアクセスを可能にすることは、身体的に貢献し、研究が抱える潜在的リスクを背負った試験参加者に対する責任でもある。

すべてのデータが高品質であるというわけではなく、より広く公衆の目にさらすことで、最終的に全体的なデータ品質を向上させる。しかしながら、データの共有にはリソースが必要であり、アクセスのためのシステムを確立する必要がある。データを標準化することで、より良い分析が可能になるが、それは必須ではない。

データの悪用(不当な商業目的での著作権侵害やデータマイニング)や誤解のリスクがわずかにある一方で、試験のデータは、規制当局による承認審査と同時に公表されることで、その意味を理解することが可能になる。

データは、規制当局による承認審査の終了時に公表されなければならない。市販後に入手可能となる医薬品の有効性と安全性に関する情報や、承認されなかった医薬品の同情報を、機密にしたまま維持することは正当化できない。規制当局によっては承認を裏付けるデータを定期的に公表しているが、承認を拒否した場合のデータを公表することは少ない。しかしデータを公表することで、医薬品への誤った期待や誤用(偶然か否かを問わず)、および安全性の問題を回避できる。公開プラットフォーム上にある終了した試験の多くは、プロトコルが公表されるのみで、結果は部分的であったり、内容が古く、または公表されないままとなっている。

ICMRAとWHOは、規制当局がより強いレベルの透明性を求めていく中で、いくつかのステークホルダーが抱く可能性のある懸念を認識している。しかし我々は、透明性の確保が公衆衛生上の多大なる利益につながるとの確信を持っている。

欧州医薬品庁や ヘルスカナダなどの既存の取り組みにも関わらず、規制当局が審査した医薬品の承認や承認拒否を裏付けるデータに対して、体系的に外部からのアクセスを可能とすることは大幅に遅れている。COVID-19のパンデミックにより、社会の信頼を得るためにデータへのアクセスを可能とすることがいかに重要であるかが明確になった。ICMRAとWHOは、製薬業界に対して、公衆衛生上の利益のため、早期に、法制面での環境整備を待つことなく、自主的で制限のない形で、試験結果データへのアクセスを可能とすることを求める。


 

[注1] ICMRAは、薬事規制当局の長官らによる自発的な連携組織であり、協力の強化、コミュニケーションの改善、世界的な危機に対応する効率的なメカニズムのための戦略的方針を提供する。
 

[注2] 例として、破棄または実行されなかった過去の宣言および民間の取り組みには以下のものがある。
- Walsh F (26 February 2013), "Drug firm Roche pledges greater access to trials data"
- Alltrials Campaign, https://www.alltrials.net/ (most recent data from March 2019)
- WHO and multi-party Joint statement on public disclosure of results from clinical trials, 18 May 2017 (accessed here, March 2021).